2026/02/19 20:22

「あ、ゴビ砂漠で死のう」
ショッキングな言葉だ...
ゴビ砂漠で水を求めさまよい歩く経験をしてなおGPS・地図・コンパス・時計・通信機器を持たずに厳冬期のゴビ砂漠をさまよい歩く旅をする。
不器用な一人の人間が、自分を見失わないために砂漠へ向かった自伝的エッセイ集。
あらゆるものが便利になり、それらを使いこなすこと自体が目的であるかのように振る舞ってしまう時代。コスパやタイパという言葉で理由を求め、少し出かけるだけでも信号待ちのたびに現在地を確認してしまう自分がいる。
それは安心を得たいからなのか、縛られているだけなのか。
初めて奥村氏に会ったのは、確か大阪、和泉市のモトルでのイベントだった。穏やかな好青年という印象の彼がGPSを持たずに砂漠を旅すると聞いたとき、私は素直に「狂っている」と思った。
とてもそんな無謀なことをする人には見えなかったからだ。
電子機器を持たずに砂漠を歩くのは、人間とは何か、自分とは何かを確かめるためなのかもしれない。便利さに慣れるなかで少しずつ薄れてしまった、生きるための感覚を取り戻すように。
読み終えたあと、純粋な衝動による、ある意味“無計画”な旅ができることを羨ましく思った。
遠くへ行きたいわけではないけれど、また一人で旅に出たくなる一冊。
『沙漠人間砂漠』
著者:奥村 大海
奥村大海氏による初の自伝的エッセイ集。
GPS・地図・コンパス・時計・距離測定メーター、外部と連絡の取れる通信手段を持たず、うろうろ沙漠をさまよい歩く男。「人間って何だろう?」と思考を巡らせながら、彼の旅は今なお続く。
MCB文庫(MOTTLE:出版事業)刊。
1,500円(税込)

